「合理的配慮」の義務化
令和3年5月28日に可決・成立した、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」)の改正法が、令和6年4月1日に施行されます。
これまで、民間事業者に対しては、「配慮をするよう努めなければならない(旧8条)」としていた障害者に対する「合理的配慮の提供」について、今回の改正により「配慮しなければならない(改正8条)」と義務化されました。
「合理的配慮」についての例
今回の改正を受け、改正法のガイドラインに当たる「基本方針」が策定されています。ここに記載される「合理的な配慮」の例をいくつか挙げます。
・車椅子利用者のために、段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境に係る対応を行うこと
・店内の単独移動や商品の場所の特定が困難な障害者に対して、店内移動と買物の支援を行うこと
なお、基本方針には「記載されている内容はあくまでも例示であり、あらゆる事業者が必ずしも実施するものではないこと、この例以外であっても合理的配慮に該当するものがあることに留意する」と付け加えられています。
「合理的配慮」の義務違反に該当する例
基本方針で、合理的配慮の提供義務違反として挙げられている例もいくつか紹介します。
・イベント会場内の移動に際して、支援を求める申し出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で、具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断ること
・自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、弱視の障害者からスクリーンや板書等が見える席での受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること
法の対象となる事業者
「障害者差別解消法」における合理的配慮の提供義務がある事業者は、法人・個人を問わず、また、営利であるか非営利であるかも問いません。基本的に「全ての事業を行う者」に関係のある法律であり改正であるという意識が必要です。