高層階にある立地の良いマンションは、市場価格と相続税評価額との乖離を利用し、相続対策として取得されることがあります。国税庁は有識者会議の討議を踏まえ、令和5年7月21日、マンションの評価を見直す個別通達(案)をパブリックコメントで公表しました。意見募集は8月20日まで。
市場価格に近付ける評価方法に見直す
新たな評価方法は、マンション一室の区分所有権等について、従来の相続税評価額に一定の補正をします。築年数、総階数、所有物件の所在階、敷地持分狭小度をもとに、市場価格と相続税評価額との乖離が、約1.67倍を超える場合は、評価額が市場価格の6割となるように評価額を補正します。築年数の浅く高層階にあるマンションほど補正率は大きく、評価額も高くなりますが、マンション全体への影響も予想されます。令和6年1月1日以後の相続、遺贈、贈与に適用されます。
一室の敷地利用権(土地)の評価
次の場合、自用地としての価額×補正率(B)
評価乖離率(A) | 補正率(B) |
A<1 | B=評価乖離率 |
A>1.66‥・・・ | B=評価乖離率×0.6 |
評価乖離率
=築年数×△0.033
+総階数÷33(1を超える場合は1)
×0.239
+専有部分の所在階×0.018
+敷地持分狭小度(※)×△1.195
+3.220
※敷地持分狭小度
=敷地利用権の面積
÷区分所有権の専有部分の面積
1棟の区分所有建物の専有部分全てと敷地を単独で所有する場合、補正率は1を下限とされます。評価乖離率を求める上記算式と補正率の計数0.6は適時見直されます。
一室の区分所有権(建物)の評価
自用家屋としての価額(固定資産税評価額)
×補正率(B)
階数が2以下及び専有部分の一室の数が3以下で、その全てを区分所有者又はその親族の居住用に供している建物は対象外。
自身でマンション評価を試算してみよう!
上記算式は、納税者が簡単に計算できるよう国税庁がツールを用意するとしています。計算に必要なデータは登記簿謄本を見れば簡単に入手できますので、自身で影響の有無や大きさを試算しておきましょう。