外国税額控除とは?
外国税額控除とは、日本国内に居住地を置く人が、外国の所得税に相当する税金を納付した場合、二重課税になるのを調整するために設けられた制度です。
日本では、所得が生じた場所が国内外問わず、所得税が課せられる仕組みです。しかし、所得を受け取った国が「源泉地課税」を採用している場合、その国でも税金を納める義務が発生して、二重に課税されることになります。この負担を調整するための制度です。
限度額が設定されている
外国所得税は、「所得税の控除限度額」を限度として、該当の年の所得税額から差し引くことになります。計算式は、該当年の所得税額×(該当年の国外所得総額÷該当年の所得総額)=所得税の控除限度額 となります。
外国税額控除額は、外国所得税の額が所得税の控除限度額に満たない場合はその外国所得税の額、控除限度額を超える場合は、次の①または②のいずれか少ない方の金額の合計となります。
①控除対象外国所得税の額から所得税の控除限度額を差し引いた残額
②復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税×(その年分の外国所得金額÷その年分の所得総額)
2パターンの繰越制度
外国税額控除には、前述した限度額計算の他に、外国所得税額または所得税の繰越限度額を基に計算した一定の金額をその年の所得税額から控除できる繰越制度が存在します。
外国所得税額が控除限度額を超える場合、該当年の前年以前3年内の各年の所得税額控除限度額のうち、その繰越控除額を限度として、超える部分の金額を該当年分の所得税の額から差し引くことができます。また、外国所得税額が控除限度額に満たない場合、前年以前3年内の各年において控除しきれなかった金額があるときは、その控除限度超過額の合計額を一定の範囲内で該当年分の所得税の額から差し引くことができます。
「引けなかった外国税額の額も繰り越すし、使わなかった限度額の枠も繰り越す」という制度になっています。