60代後半の在職者に毎年年金額が増える
老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者であった場合、今までは65歳以降の被保険者期間は資格喪失時(退職時、70歳到達時)にのみ年金額が改定されることになっていました。しかし働く高年齢者が増えて、就労を継続していることの効果が退職を待たずに年金額に反映されることになりました。年金を受給しながら働く人の経済基盤の充実を図るため、令和4年4月からは在職中であっても年金額を毎年10月分から改定する制度が導入されました。
在職定時改定とは
在職定時改定は毎年9月1日の基準日において被保険者である老齢厚生年金の受給者の年金額について、前年9月から当年8月までの被保険者期間を算入し基準日のある月の翌月(毎年10月)分の年金額から改定されます。
令和4年10月分については65歳到達日から令和4年8月までの厚生年金保険に加入していた期間も含めて年金額が改定されます。対象者となるのは65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者です。65歳未満の人は、老齢厚生年金を繰り上げ受給していた場合でも在職時改定の対象外です。 この在職定時改定は基準日の9月1日に厚生年金保険の被保険者である必要がありますが、9月1日に資格喪失をしてそこから1か月しないうちに被保険者の資格を取得した場合、9月1日の時点では被保険者ではないのですが、在職定時改定として年金額の再計算が行われます。
年金の一部か全額が支給停止の可能性も
年金の再計算が行われる結果、報酬との調整で年金の一部又は全額が支給停止になる場合がないとは言えません。年金支給停止額は次のようになっています。
停止額の計算
・基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円以下の時=支給停止なし
・47万円を超える場合
(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2 = 支給停止額 となります。
60代後半で新たに支給停止になる方は元々給与額が高めの方であったとも言えるでしょう。