世界的な資源価格の高騰で、金相場はうなぎのぼりです。相続で取得した金地金を換金して生活費の補てんにあてたいとき、売却代金に対する税金と、保険料の負担が気になるところです。
譲渡所得に課税
金地金の売却は、建物、株式の売却と同様に、譲渡所得に課税されます。譲渡所得は、金地金の売却代金から取得費(取得時の手数料を含めます)と譲渡費用を控除し、さらに最大50万円の特別控除を行い、所有期間が5年を超える譲渡は、その2分の1を事業所得や給与所得など、他の所得と合算して総合課税の対象となります。
なお、相続税の申告期限から3年以内の売却であれば、相続税の一部を取得費に加算する特例があります。
相続税と譲渡所得税は、2重課税?
金地金を相続したとき、相続税がかかったのに、売却するときに譲渡所得に課税されるのは、2重課税ではないかと思うかもしれません。しかし、相続税は、取得した財産に相続時の時価で課税され、譲渡所得は、財産の売却により実現したキャピタルゲインに課税されますので、2重課税とはならないとされています。
取得価額が不明のときの概算取得費
譲渡所得は、財産を取得してから売却するまでに増加したキャピタルゲインに課税されますので、被相続人の取得価額を使用することになります。このとき、被相続人の取得時の記録が何も残っていない場合、売却価額の5%相当額を取得費(概算取得費)として譲渡所得を計算できます。
なお、金地金を購入した店がわかれば、購入履歴が残されている場合もあります。もし、記録がない場合は、金地金に刻印された製造番号から製造時期の相場を調べることもできるかもしれません。金相場は、ここ20年、右肩上がりで推移しており、取得時期は製造時期より後になりますから、製造時期の取得価額が5%相当額(概算取得費)より高ければ、取得費として使える可能性もあります。
翌年の保険料の負担に注意!
譲渡所得は、総所得金額や合計所得金額に含まれますので、翌年の国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料が増加します。保険料の算定式は、市区町村で公開されています。売却収入に対し、手取り額がいくらになるか、事前に調べておきましょう。