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2022年4月4日 不動産所得の事業的規模とは?

青色申告者が不動産所得を申告する場合、貸室が5棟10室に届かない場合でも、賃料収入の大きさや賃貸活動の状況などによっては、貸付けが事業的規模に該当すると認めてもらえることもあります。

事業性が認められる場合の特典

不動産所得が事業として認められた場合には、以下の特典が受けられます。

  • 建物取壊、除却損の全額を経費に算入
  • 貸倒損失を回収不能の年に経費に算入
  • 青色専従者給与が適用可
  • 複式簿記の記帳で55万円控除(電子帳簿保存又はe-Taxにより65万円控除)

社会通念としての事業規模

貸付けが事業として行われているかについて、国税庁は「社会通念上、事業と称するに至る程度の規模」と定義しており、5棟10室基準はその例示として示されていますが、判例では「5棟10室基準を満たせば事業として行われているものとするという十分条件を定めたにすぎず、当該基準を満たしていなかったとしても、これをもって直ちに社会通念上事業に当たらないということはできないと解する」と示されています。

事業性は賃貸の営利性、継続性や危険負担、精神的・肉体的労力の程度などで個別に判定されます。賃借人が同族会社で安定した賃貸先のため、リスクはないとして事業性が認められなかった判例もあります。

賃貸人のリスクは必ずしも小さくない

不動産賃貸は、事業所得を生む事業と比べ、精神的・肉体的負担は少なく、賃借人が入居してしまえば、設備の不具合でも起きない限り、手間はかからないといえます。

一方、退去時の原状回復、建替時の立退交渉などは負担を伴い、また最近はリモートワークで間取りが少なく狭い物件は、敬遠されがちとなり、リフォームも必要となります。その他、地震による建物の倒壊リスクや、火事の延焼や類焼リスクなど賃貸する側には相応の負担が生じます。

事業性を認めてもらうためには

5棟10室まで至らなくても、賃料収入や不動産所得で相応の規模が確保されているのであれば事業性は一定程度、備えているとも言えます。継続的に賃貸を行い、修繕やクレーム対応などきめ細かな賃貸管理は事業性を高めることにもつながります。事業的規模に該当するか気になる時は、税務署に貸室の数や収入金額、事業状況を説明して確認を受けるのもよいかもしれません。

掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。
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