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2022年4月21日 二重払いとなる外国年金に係る 年金協定と社会保険料控除

日本と〇〇国との間の社会保障(年金)協定

外国で働く場合、働いている国と本国とで社会保障制度に二重に加入する必要が出てくる場合があります。年金を受け取るために、一定期間その国の年金に加入しなければならない条件があるときは、その国で負担した年金保険料が年金受給につながらないことがあります。

上記を踏まえ、(1)二重加入の防止と(2)年金加入期間の通算を目的として、社会保障協定が締結され、2022年2月1日時点で、日本は23か国と協定を署名済で、うち21か国は発効済みです。(注)英国や中国など一部国では(2)は適用外とされています。

年金協定適用の外国払い社会保険料の控除

 年金協定が適用される場合、年金事務所に届出書を提出して認められれば、その国から日本に赴任してきた人の日本での年金払いは不要となります。ただし、免除は年金だけで、健康保険の加入義務は残ります。

ところで、本国で支払われている年金につき、日本の所得税の計算では社会保険料控除は取れるのでしょうか?

従来は、日本の所得税法での社会保険料控除の対象が、日本の社会保険制度の下で支払われたものに限定されているため、相手国での社会保険料は控除対象外でした。

年金協定適用の外国払い社会保険料の控除

しかしながら、唯一フランスのみ、2007年に日仏租税条約の交換公文で、フランスの社会保険料も、所定の計算方法で計算した上限までは控除できると取り決められました。残念ながら、フランス以外の国では、他にはまだ適用国がないようです。

実際の手続きとしては、租税条約での取決めを実施に移す、租税条約実施特例法により、「課税の特例の届出書」という所定の書式を用いることでフランスの社会保険料を控除できます。

なお、この控除額を計算するにあたって、「租税条約相手国の社会保障制度に係る権限のある機関のその社会保障制度に係る法令の適用を受ける旨の証明書(適用証明書)」および「その(特定社会)保険料の金額を証する書類」の提出が求められます。

控除限度額の計算に際しては、日本の年金支払額の上限金額の計算要素の一つとなるなど、結構面倒です。

年金協定適用と年金事務所への届出は社会保険労務士に、所得控除計算は税理士にご依頼されることが時間短縮でお勧めです。

掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。
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