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2018年5月29日 新・中間省略登記と登記税・取得税・消費税

地面師暗躍「海喜館」事件

昨秋、大手住宅メーカーが土地購入を巡って「地面師」の被害に遭い、土地2000㎡、売買価格70億円の9割の63億円をだましとられた、と報道されました。同社は、土地所有権移転登記が出来なかったことにより、詐欺にあったことに気付いたようです。

同社のニュースリリースに、「当社の契約相手先が所有者から購入後直ちに当社へ転売する形式で」と記されているので、「第三者のためにする契約」(新中間省略登記)だった事が推測されています。

中間省略登記は禁止されていた

中間省略登記とは、不動産について、甲から乙への売買、乙から丙への売買があった場合に、所有権は甲→乙→丙と順次移転しているにもかかわらず、中間者乙への移転登記を省略して、甲から丙へ直接所有権が移転したこととする登記のことをいいます。中間省略登記には、登録免許税や不動産取得税が1回で済むというメリットがあります。ところが、平成17年3月に不動産登記法が改正され、登記申請の際、「権利変動の原因を証する情報(登記原因証明情報)」の添付が必須とされ、中間省略登記は封じられました。

中間省略登記復活の2類型

しかしその後「規制改革推進会議」が、法務省から「第三者のためにする売買契約の売主から第三者への直接の所有権の移転登記」または「買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権の移転登記」という形での甲から丙への直接の移転登記申請が可能である旨を確認したので、その内容を周知すべきであるとの提言をしました。この提言内容は、平成19年1月12日法務省民事局から全国の法務局へ伝えられています。

登録免許税と不動産取得税と消費税

この第三者のためにする売買契約や買主の地位の譲渡による直接の移転登記は、甲から丙への直接の移転登記を認めるものです。登録免許税・不動産取得税も従前の中間省略登記と同様に1回分で足りることになります。それで、「新・中間省略登記」と呼ばれています。

なお、介在者が課税事業者であれば、課税物件の総額につき全当事者に消費税が課されることに変わりはありません。

掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。
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