海外旅行で戸惑うチップ
日本人が海外旅行で戸惑う制度の代表がレストラン等で渡すチップの金額と支払い方です。チップとは、本来、サービスを受けたことに対するお礼として渡す気持ちの表れです。規定料金とは別の心づけです。
しかしながら、観光ガイドや添乗員に、「彼らの給料は低く抑えられていて、チップをもらうことを前提としたものになっています。少なくとも〇%位は渡して下さい」 と言われると、本来のお礼の気持ちの心づけとは別のものとなってしまいます。
「何で本来経営者側が負担すべき給料を客に押し付けるのだ!」と言いたくなります。
チップは課税されるのか?
さすがチップの本場(?)と言いましょうか、アメリカでは、自己申告(+それを補う別制度あり)により、きちんと課税が行われる仕組みとなっています。また、自己申告に頼れない分は、補完の概算計算制度で課税も担保されるような仕組みとなっています。
日本におけるチップの課税
日本の場合は、一般的にチップの習慣がありません。例外として、旅館で女中さんや運転手さんに渡すことがあります。
日本の個人所得税では、“勤務先を通さずに直接個人が懐に入れるチップ”は、雑所得として課税対象になります。申告対象です。
一方、チップを渡す方は、業務上の支払いの場合にはチップも所定の条件が整っていれば(=記帳の適時・適格性等)、“経費として落ちる”ことになります。ただし、接待交際費・給与・福利厚生費などとなり、それぞれ課税の扱いが変わってきますので、要注意です。
“経費として落ちる”ということは、税務署側も会社の税務調査等で資料収集しますから、渡された側が申告していなければ、課税漏れが発覚する可能性はゼロではないのです。そのため、「チップを直接個人がポケットに入れたら税務署はわからないだろう」ということはありません。
ところで、“勤務先を通して個人が受け取るチップ”というものもあります。これは、たとえば、「旅館などで女中さんがもらったチップはいったん会社に入れて全員で分ける」といったようなケースです。この場合は、各人は給与の一環としてもらうことになり、会社側が源泉徴収しなければならないことになりますので、注意が必要です。