来日外国人が行う講演に必要なビザと税務
世界中で大人気のヨガですが、最近もホットヨガやピラティス教室などが流行っています。こうした発祥の地が外国のものは、たとえ同じ内容であっても、本場の人(ヨガの場合はインド人)が講師の講座の方が、有難みも価値も増すように感じられることとなります。それに便乗してか、本場の外国人を招いて、1~2か月の間に日本各地を回るツアーも開催されているようです。
こうした講座の講演者が、日本で働いて報酬を得るためには、興行のビザを取得し、芸能人として税務上扱われて納税することが必要です。もし、観光ビザでやってきて、報酬の支払いに際しても何の手続きもせずに支払ってしまうと様々な問題が発生しますので、要注意です。
講演主催者が注意すべき税務問題
来日外国人のこうした仕事は興行の労働許可証がなければ働けません(=報酬を得られません)し、対価も非居住者(=日本に住んでいない人)に対する報酬の支払いとして、20.42%の源泉所得税を天引きしなければなりません。また、その源泉税は報酬支払者が支払った日の翌月10日までに国(=税務署)に納付しなければなりません。
源泉所得税の徴収・納税義務は支払者側にあり、これを忘れると支払者側に源泉所得税未納とその罰金の大きな負担が科されることになります。また、本来であれば源泉漏れは受け取った人から還付してもらうのですが、帰国してしまった外国人からは、通常取戻しができず、二重負担となってしまいます。十分に注意が必要です。
“外国”への支払いは常に源泉税に留意
外国人・外国会社・外国に居住している人にお金を支払うときには、常に、源泉所得税の問題を考えなくてはなりません。
他に、卑近な例で言うと、賃貸住宅の家主が外国に居住している人(海外に仕事で駐在している日本人が空き家を賃貸している場合を含む)や外国の法人である場合、家賃の送金に際して源泉税が控除漏れとなっているケースが多いようです。
なお、“外国”芸能人への報酬や家賃の支払いに際しての源泉税は20.42%が所得税法で決まっている料率です。ただし、租税条約で、「政府間で合意された文化交流のための特別の計画に基づき個人により行われる場合には免除」等の規定もありますので、租税条約の確認も必須の作業となります。