LINEスタンプ収入は「変動所得」か?
無料通話・メールアプリの定番となったLINE。2014年からは利用者が自作した「スタンプ」(アプリのメッセージに挿入できるイラスト)を販売できるようになり、当初は数千万円も売り上げた制作者(クリエイター)もいました。現在は登録数も増え飽和状態のため、大ヒットは難しくなりましたが、一攫千金を夢見る人は多いようです。
このLINEスタンプの収入については、「平均課税制度が使えないのか?」という質問を受けることがあります。平均課税とは、一時的に所得が増加した人の税金負担を緩和する仕組み。スタンプ収入はいかにも当てはまりそうなものです。その対象となる「変動所得」は、所得税法で限定されており、「著作権の使用料」に係る所得がその一つに挙げられています。
当事者は権利関係をどう整理しているか?
では、スタンプ収入は「著作権の使用料」に当たるのかといえば、クリエイター側はそのような意識は低いかもしれません。ネットでは「デザイン(意匠)の報酬」の面が強いため、変動所得には当たらないという意見もあります。ただ、デジタルコンテンツの場合、どのような権利とも取れる側面もあり、当事者間で権利関係をどう整理しているかがポイントとなります。
参考となるのが、LINEクリエイターズマーケットの利用規約とHPのQ&Aの記載です。
利用規約では、クリエイターは、コンテンツ(LINEスタンプ)等を利用する権利(複製等または公衆送信権を含む)をLINE社に許諾し、LINE社がコンテンツ(LINEスタンプ)の配布をした場合、クリエイターに分配額を支払うという内容となっています。
また、Q&A(源泉の取扱い)では、スタンプの販売行為は「クリエイターが保有する著作権の使用に該当する」として、源泉徴収を行っていると記載しています。これらより、LINE社ではスタンプ販売は「著作権の使用」と認識しているものと考えられます。
Tシャツの原画使用は「著作物の複製」
源泉税の取扱いでは、アートTシャツを販売したときにイラストレーターに支払う原画の使用料は、「デザインの報酬」でなく、イラスト原画という美術品の「著作物の複製(著作権の使用)」とした例があります。
源泉税の「著作権の使用」の考え方を、そのまま変動所得の「著作権の使用」に当てはめるのはいささか乱暴かもしれませんが、参考にはなるのではないでしょうか。