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2017年10月24日 4社分割の要件緩和 創業者の会社貸付金の相続対策

会社分割を利用して貸付金の整理

平成29年の税制改正で分割型分割の適格要件が一部緩和されました。その内容はこうです。

単独新設分割型分割にあっては、分割後の株式の保有関係は、分割後にその同一の者と分割承継法人との間にその同一の者による完全支配関係(支配関係含む)が継続することで足り、分割後のその同一の者と分割法人との間の完全支配関係の継続が不要とされました。

そこで、改正後の単独新設分割型分割を利用して創業者の会社貸付金の整理を試みてみます。

同族会社と同一の者

この「同一の者」は、親族が単位となりますので、同族会社の場合、親族で株式を保有している例が殆どだと思われますので、いわゆる、会社と同一の者による完全支配関係が成立します。適格要件は満たします。

例えば、甲社は、創業者60%、配偶者10%、子30%の割合で株式を保有されていたとします。この場合、甲社は、「同一の者」による完全支配の関係にあります。

創業者の貸付金の整理

具体的な手続きはここからです。甲社は、創業者からの借入金6千万円があり、債務超過でその返済も不能の状態にありますが、現在、事業は縮小しながらも継続して営んでいます。

ここで、甲社は分割法人となり、継続している事業を新設分割により乙社分割承継法人に承継させ、その後、甲社を解散・清算することにしますが、改正後は、同一の者と甲社分割法人との完全支配関係の継続が要件とされませんので、適格要件は満たしており、それは可能と考えます。

甲社は清算の段階で、創業者から6千万円相当額の債務免除を受け、その免除益が計上されることになりますが、既に甲社には残余財産がありませんので、原則として、期限切れ欠損金の利用により、甲社に債務免除益による課税は生じません。

結果として、創業者の会社への貸付金6千万円相当は相続財産から消えます。

但し、創業者の債務免除により当該者から他の株主への「みなし贈与課税」が生ずる余地はあるかもしれません。

なお、この改正は、平成29年10月1日以後に行われる分割から適用されます。

掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。
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