信頼のブランドこそ無形資産
成田空港の出国ラッシュ・帰国ラッシュのニュースは、お盆の風物詩です。皆さんの中にも、夏休みを海外で過ごされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
米国発の外食産業といえば、ハンバーガーチェーンやコーヒーショップ、コーラ飲料などが頭に浮かびますが、観光地となり得るような場所では、世界中あらゆる国で、こうした店舗や自動販売機を見かけます。せっかく外国旅行に来たのだから現地にしかないものをと思っても、馴染みの味は安心でき外れないので、ついつい選んでしまうというのが実情ではないでしょうか。
この信頼の元がブランドであり、その会社の将来の利益を生み出す無形資産です。(=ブランドという形のない資産です。)
ブランド構築にはお金と時間がかかる
1971年開業のスターバックスコーヒーは、北米以外の新市場における初の店舗として、1996年8月に東京・銀座に第1号店「銀座松屋通り店」をオープンしました。その後も世界各国に店舗展開し、いまや全世界に2万2千を超える店舗を保有しています。
こうした時間とお金をかけて構築してきたスターバックスというブランドが、消費者への信頼の看板であり、グループの利益を生み出す大きな源泉ともいえます。
構築した無形資産の回収とその最大化
ブランドを構築するためにかけたお金はロイヤリティー(Royalty)という形で回収されます。ブランドの使用料として対価(=金)を払うのか、商品原価に上乗せされて支払われるのかはケースバイケースでしょうが、ブランドを持つ親会社(=ブランド保有会社を別会社としている場合も多い)に利益が配分されます。ロイヤリティーを受ける会社と支払う会社が別の国にある場合には、移転価格税制の問題が発生します。
税金が課された後の利益を最大化するためには、税率が低いとか、何らかの優遇税制を持つ国が選ばれます。アイルランドはこうした国の代表例なので、スタバやアップルなどがアイルランドを税逃れ拠点として選んでいる理由の一つとなっています。
“ダブルアイリッシュ、ダッチ・サンドウィッチ”などの節税策で批判されても、国際多国籍企業がこうした合法的な税逃れ拠点を持つ理由は、税引き後の利益を最大化することこそが経営者の使命だからです。