記事投稿日:2017.03.07
経営者は、自社の目標管理制度の設計・運用に真摯な関心をもち、ミスリードに陥らない注意が必要です。それは、目標管理制度の機能が経営に生かされないばかりか、重大な経営の機会損失を招くからです。
経営者のミスリードとは
経営者が陥りやすいミスリードで、代表例を挙げますと、次の通りです。
①設計・運用部門が目標管理制度の目的を「管理のサイクル・P‐D‐C‐Aの徹底・経営管理の強化」に置いており、本来の「経営目標達成のための業績管理」においていない(目的の取り違えをしている)のに、是正指示を出していない
②同様に制度運用のキーファクターを「目標設定の方法」としており、本来の「社員が役割意識に基づくチャレンジ意欲をもって目標設定・達成に取り組む組織開発」を重視していない(重要手段に抜けがある)のに、是正させていない ③評価制度について「達成度評価の公正性・納得性を重視した管理者教育」を重視し、本来の「目標達成度を組織・チーム業績への貢献度とする評価基準整備」が放置されている(評価の本質をとらえていない)のに、是正させていない |
ミスリードが及ぼす影響
このようなミスリードによって、設計・運用の根本的誤りが是正されないまま放置されると、当然の帰結として、
・制度の目的が「経営目標達成のための業績管理」に置かれないため、経営戦略・経営目標からカスケードダウン(段階的順次細分化)する目標設定が甘くなる。
・制度運用のキーファクターが「組織開発」に置かれないため、目標設定や達成に取り組む社員のチャレンジ意欲・活力が引き出せない。
・目標達成度評価が、組織・チームへの貢献度に置かれないため、真の経営貢献が評価されず、その結果公正性・納得性を持つ適正な役割等級や役割・貢献度賃金制度への反映がなされない。
など、目標管理制度の存在意義を根本から否定しかねない事態となってしまいます。
経営トップには、このようなミスリードの悪影響に鑑みて、目標管理制度の設計・運用の基本を踏まえたリーダーシップを発揮して頂きたいものです。
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。