バランスト・スコアカード(BSC)
バランスト・スコアカードは、戦略経営のためのマネジメント・システムです。ハーバード・ビジネス・スクール教授キャプランとコンサルタント会社社長ノートンにより1992年に「Harvard Business Review」誌上に発表された業績評価システムです。従来の財務数値のみならず、非財務の観点からもビジョンと戦略を明確にし、バランスの取れた業績評価を行います。ビジョンや戦略は、「財務の視点」、「顧客の視点」、「業務プロセスの視点」および「学習と成長の視点」の4つの視点で分類されます。
キャプラン=ノートン(著)櫻井通晴(訳)『戦略バランスト・スコアカード』(東洋経済新報社 2001年)に具体例が豊富に掲載されています。日本企業の例はありませんが、参考事例を見つけることができるかもしれません。興味を持たれたらご一読を!
東京都千代田区も組織経営評価として導入
(1)行政でも利用可能
非営利組織や政府にもBSCの利用は可能です。ただし、営利組織と違い、財務の視点を階層構造の頂点に置くオリジナルの構造には問題があるため、顧客や有権者を頂点に置くという方法となります。顧客への効果的なサービスの提供が究極的には政府の存在意義を説明するからです。公共セクターの組織には、そのミッションを達成することが必要なら満足させなければならない3つの上位目標、①最小のコストで、②価値を創造し、③資金を供給する権限のあるところから継続的な支援と委任を引き出す、があります。3つの目標から始まって、公共セクターの組織は3つの高次の視点における目標を達成できるような内部プロセス、学習と成長の目標を明らかにすることへと進んで行きます。
(2)事業部制導入に併せ平成15年から導入
区民サービスの向上を目的に区民の目線にたった柔軟な行政運営ができる仕組みをつくるため、千代田区は、平成15年4月からスタートさせた「事業部制」に続き、区民の満足度と成果を重視する区政への転換のため、組織経営評価としてのBSCを試行し、事業部の事業実施の成果を評価しています。これを始めた区長は平成29年2月の選挙では代理戦争と言われた現区長です。(代理戦争という言葉に流されず、この点を評価できたのではないでしょうか。)