非居住者である外国企業の課税は源泉課税
一般的に、国内に拠点のない外国企業の自国内源泉所得に課税する方法として、支払い側に源泉所得税の控除・納税義務を課す方法が採用されています。
たとえば、A社(ソフトウェア開発業)が恒久的施設(=支店など)を持たないB国でC社にソフトウェアを100で販売した場合、B国はC社に20(20%)の源泉徴収義務を課します。C社からA社へは80%である金額の80が送金されることになります。
二重課税の調整=まずは外国税額控除です
A社が日本企業の場合、日本では全世界所得課税なので、国外収入も100%課税対象となります。すでに20%源泉徴収されている上に日本でも法人税が課税されますので、B国での収益に対しては二重課税されることになります。この二重課税の調整方法として、外国税額控除が使われます。
外国税額控除を受けるためには、確定申告書等に控除を受ける金額及びその計算に関する明細を記載した「外国税額控除に関する明細書等」、外国所得税を課されたことを証する書類及び国外所得総額の計算に関する明細書などを添付する必要があります。しかしながら、外国所得税を課されたことを証する書類の入手が困難な場合が少なくありません。特にアジアの国では顕著です。
外国税額控除に必要な書類が揃わない場合の対処法(事前対応方法)
こうした事態が予想される場合には、契約の段階で、受け取りたい金額(=100)を源泉所得税控除後の金額とした価格設定にすれば解決できます。A社がB国で販売した事例でいうと、手取りを100とするために契約金額を125(=100/(1-20%))にします。これで源泉税25(125×20%)が控除されても欲しい金額の100を確保できます。なお、外国税金の25は租税公課として損金算入(=経費扱い)として処理されます。
もちろん、顧客との力関係(=いかにA社の商品をC社が欲しがるか)でこうした契約方法が採用できるかどうかも変わってきます。これは外国企業から日本企業が購入する際も使われることがあるので、貴社でも似たような経験があるかもしれません。
(注:日本では税務署から英語の納税証明書の取得は困難ではありません。相手側が自国での外国税額控除を面倒だとしているケースが多いようです。)