組織は、事業を推進するための機能を備えた“人の集まり”で、その良否は企業経営に直接的、根本的な影響を与えることは言うまでもありません。
事業推進が思わしくない、業務に不具合が生じているときなど、トップの指示で組織や人事配置の変更を行い、それをもって改革が完了した、と錯覚してしまう誤りは、よく起こりがちであり、本質的に重要な組織の機能強化に眼を向けた改革を実施するには、組織のカタチを考えたいものです。
組織のカタチ・二つの考え方
組織の代表的なカタチには、通常の組織図に表される“文鎮型、または縦型組織”と“円形組織”の二つがあります。
①“文鎮型組織”は軍隊組織のように、組織長の指揮命令で部下が動くのに適し、命じられたことを実現するスピードが速い利点がある一方、メンバーは命じられたこと以外の事柄への対応行動がとりにくく、主体性のある判断、行動に欠ける指示待ち型の意識・行動に陥る欠点があります。
②“円形組織”は、価値観を共有したチームが、メンバー間で互いに横の連携をとり、主体的に動きながら目標を追求するのに適し、長が組織の中心にあって価値観を共有するために求心的に機能している組織で、主戦場にチーム力を結集する機動力に優れている一方、価値観の共有に齟齬があったり、メンバーの柔軟で主体性を持った心構え・判断・行動が欠けると失敗に陥りかねません。戦況が変わった時に、アイコンタクトで瞬時に協力・対応行動がとれるような訓練を徹底する必要があります。
経営者・管理者の留意点
経営環境変化が激しい現代にあっては、“円形組織”の考え方で組織を動かす利点を活用すべきです。
すなわち、次の点に留意しましょう。
①経営者・管理者は、目標管理制度の運用などを通じて、“円形組織”の求心的役割を果たす。
②共同目標の設定で、メンバーとともに経営計画・経営理念等から目標・達成方法を設定し、価値観を共有する。
目標達成過程において、メンバーに主体的な対応を訓練する。