記事投稿日:2016.11.22
「空き家3,000万控除」と小規模宅地等
平成28年4月1日からの譲渡より所得税の「空き家に係る譲渡所得の特別控除(3,000万円控除)」制度がスタートしていますが、これと相続税の小規模宅地等の減額を併用できるパターンがあるようです。
空き家に係る譲渡所得の特別控除
「空き家に係る譲渡所得の特別控除」とは、「被相続人居住用家屋」(相続開始直前において、被相続人のみが居住していた家屋で旧耐震基準により建築されたもの。区分所有建物を除く)を相続した相続人が相続時から3年経過する年の12/31までに次の譲渡を行った場合には、譲渡所得の計算上、譲渡益から「3,000万円の特別控除」ができるというものです。
① | その家屋を耐震リフォームした後のその家屋及び敷地の譲渡等 |
② | その家屋を除却した後の敷地の譲渡等 |
この他にも「譲渡対価1億円超は対象外」「相続開始から譲渡の時まで事業、貸付、居住の用に供されたことがない」などの要件があります。
小規模宅地等の減額(家なき子)
小規模宅地等の特定対象宅地等の多くは「相続開始時から申告期限までの事業継続要件・居住要件」があるため、「特別控除」との併用は難しいものと考えられますが、次の特定居住用宅地等(いわゆる「家なき子」)の場合には、居住要件がなく、併用が可能であると考えられます。
〔適用要件〕 「被相続人と同居していない親族」が「被相続人の居住用宅地等」を取得した場合で、①~③のすべてに該当し、かつ④又は⑤の要件を満たしていること
① | 相続開始時に、被相続人又は相続人が国内に住所を有していること等 |
② | 被相続人に配偶者がいないこと |
③ | 被相続人の居住用家屋に同居する相続人である親族がいないこと |
④ | 相続開始前3年以内に国内にあるその人(又はその配偶者)の所有する家屋に居住したことがないこと |
⑤ | その宅地等を相続税の申告期限まで有していること |
相続税額の取得費加算とは選択適用
ただし、この「特別控除」と「相続税額の取得費加算」制度とは選択適用となりますので、注意が必要です。
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。