社員のやる気を高めるには「良い点を褒めるのが効果的」であると言われています。
しかし、褒め方によっては、かえって逆効果となる場合もあり、注意が必要です。
失敗する褒め方/成功する褒め方
失敗する典型は「褒めている事柄が具体的でなく、抽象的で曖昧である」場合で、褒められている側から「口先だけだ。褒められた気がしない」、最悪の場合「上司の人気とりなど、何か裏があるのではないか」と受け取られることがあり、相手の心を動かす内発的動機付けにはつながりません。
これとは対照的に、成功するケースの典型は「褒めている具体的な行動が明確に指摘され、それがどのように役立ったのか表現されて、感謝やねぎらいの言葉をかけられる」と言った場合で、相手の感動を呼び、内発的、積極的な行動を引き出すことに繋がります。
制度的に褒める効果
経営ビジョンや、それに基づく行動指針が示されている場合、それが業務推進のすべての場面で実践されてこそ、ビジョンや行動指針の浸透につながりますから、全社員を対象として、制度的に褒めることが重要になります。
具体的には、社員一人ひとりや、チームを評価の対象として、評価基準・評価シートを準備し、全管理者による評価と推薦、トップによる評価決定、全社員が集合する場における表彰を行なうことになります。
表彰状には、前記の成功ケースの通り、「褒める具体的行動事実、それが役立った理由が表現され、その貢献に感謝する言葉で結ばれる」ことが適切と言えます。
このような褒め方は、経営ビジョンの実現、そのための行動指針の全社員への浸透への力となります。
経営者・管理者の留意点
上記のような意味で経営者・管理者は“褒め上手”になりたいものです。
褒めることの本質は“働きかけて人を動かす”ことにありますから、経営者・管理者は、目標管理制度の運用など、日常の業務遂行プロセスで、褒めることをマネジメントの一環として実践すべきです。
目標設定、達成プロセスで、個人やチームの積極的、創造的行動に着目して、顕彰の対象とすることをお勧めします。