あれ? 政見放送に「手話通訳」なし?
H28夏の参議院選挙に続き、都知事選挙も終わりましたね。その間、TVでは沢山の候補者の「政見放送」が放映されましたが、参議院「選挙区」には手話通訳がなかったことにお気づきになったでしょうか?
「見たような気がするけど…」という方もいるかもしれませんが、それは、参議院「比例代表」や都知事選挙の「政見放送」の話。
実は、参議院「選挙区」の「政見放送」では、ずっと手話通訳がない状態なのです。
参院「選挙区」以外は実現していますが…
昔は「立会演説会」というものがあって、手話通訳が付いていました。この「立会演説会」が公職選挙法改正で昭和58年に廃止されると、その役割をTVの「政見放送」が担うようになりました。「政見放送」では、現在まで、①衆議院「小選挙区」、②衆議院「比例代表」、③参議院「比例代表」、④都道府県知事選挙については、政党・候補者の判断により手話通訳を付けることができることとなりましたが、参議院「選挙区」だけが、いまだに「不可」の状態。もちろん、各政党とも手をこまねいている訳ではなく、議論を重ねてきたようですが、現場の放送局側は政治用語に精通する通訳者の確保が難しいのが現状。「手話通訳のいる」候補者と「いない」候補者がいては、公平性を確保できません。新聞報道では、参院の委員会でも条件面が整わないとのことで見送りとなったようです。
法律では手話通訳者は「選挙運動員」?
それとは別に手話通訳者は公職選挙法でも面倒な立ち位置にあります。この法律では「報酬を受取ることができる人」を厳格に定めており、候補者の出陣式等で手話通訳をするために手話通訳者が雇われた場合には、報酬を受取ることが認められています。ただ、その立場は「選挙運動に従事する者」(いわゆる「選挙運動員」の扱い)。「別に候補者の代弁者ではないのに…」と関係団体が取扱いの変更を求めています。
手話通訳の方には源泉徴収は不要です!
ここでやっと税金の話ですが、手話通訳者の報酬・料金を支払うときには、源泉徴収は不要です。所得税法では源泉徴取を要する報酬・料金として「通訳の報酬・料金」を定めていますが、「手話通訳の報酬・料金」はこれに該当しないこととされています。