バイタリティーが個々の社員や組織にとって重要なことは言うまでもありません。
東芝社長、経団連会長を歴任した土光敏夫氏は、かつてバイタリティーを次のように定義しました。
バイタリティー(活力)=知力×行動力
行動力は(意力+体力+速力)から成る。 |
すなわち、
・活力のベースには、専門知識・技術や固有の知識・技術、さらに判断し、考えるなどの「知力」が欠かせない。
・「知力」は仕事の必要条件であるが十分条件ではなく、「知力」を成果として結実させる「行動力」が欠かせない。
・その「行動力」は、意思・性根・やる気の源泉である「意力」、物事を身体を使って処理し尽くす「体力」、処理スピードを上げる「速力」によって生まれる。
と定義し、経営の行動指針として、全てにバイタリティーを持とう、と説きました。
経営者・管理者が企業活動で、実際に遭遇する問題として、「うちの社員は、バイタリティーが不足している」と感じられる場合、「知力、行動力のどちらの問題なのか、両方の問題なのか」と的確に判断して、バイタリティー向上に向けたマネジメント行動をとる必要があります。
目標管理におけるバイタリティー
経営目標を達成する重要な機能を持つ目標管理制度の運用でも、このようなバイタリティーが必要不可欠です。
ここでは、目標管理における管理者のマネジメントにおけるバイタリティーの活用の意味を考えて見ましょう。
目標管理制度の運用では、目標設定と目標達成プロセスにおいて、社員のバイタリティー発揮の効果が現われます。
したがって、経営者・管理者はその局面で、個々の社員や組織のバイタリティーを最大限に活用するマネジメントを実践するべきです。具体的には、
①より意欲的な目標設定がなされるよう経営者・管理者のビジョンを示す意思表明とともに、社員の参加の場をつくり、積極的な知力・行動力を引き出す。
②目標達成プロセスでは、障害となった問題の解決や、促進要因の効果的な活用に知恵を絞り、衆知を集めて協働して行動するよう誘導する。
③バイタリティーのベースとなる知力の不足は次年度の能力開発計画に反映して強化を図る。