記事投稿日:2016.07.04
近年、企業の人事賃金制度の基軸として「役割等級制度」が注目され、活用する企業が増加しておりますが、その目的から見るといくつかの類型が見られます。
[役割等級制度・目的類型区分]
類型 | 目的説明 | |
A | チーム業績・貢献度重視型 | 貢献度・チーム業績重視(担当している職務の重要度・難易度およびその業績に応じて報酬を支払う)という方針に基づき、評価制度や給与・処遇制度を構築・管理する基軸としての役割等級制度 |
B | 役割・成果・人材育成重視型 | ・会社に貢献する成果に報い、職務上期待される役割の大きさ毎に等級(格付け)を定め、処遇と結びつける制度
・職能資格等級制度の「能力への着眼」という要素を加味し、中長期的人財育成の観点から「保有能力」にも着目するという、いわば「仕事(役割)」のみならず「人(能力)」にもスポットをあてた役割等級制度 |
C | 役割・成果・賃金制度安定化重視型 | ・経済情勢や経営環境の変化、雇用の多様化や団塊世代の退職による従業員規模の縮小を背景とし、将来に向け安定した賃金制度の維持、従業員の働き方の見直しなどを目的とする
・従来の職能資格制度・定期昇給制度から、定期昇給制度見直しを大きな柱とし、仕事の結果・成果や組織への貢献を重視した「役割等級制度」へ転換 |
D | 役割・成果・処遇の公正化、モラール・生産性向上重視型 | 従来の属人的・年功的な給与から脱却し、業務や役割、成果に応じた給与とすることで、社員一人ひとりの業務に対する責任感や向上意欲を高め、そのことによって企業の生産性を高めていくことを目的とする役割等級制度 |
経営者の留意点
このように役割等級制度として基本的な共通点はありますが、各企業が置かれた状況により、目的は異なり、従って賃金制度・評価制度・人材育成などもそれぞれの工夫が見られます。自社の状況、課題を見据えた役割等級制度の導入を図りましょう。
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。