記事投稿日:2016.06.22
役割等級制度を導入する場合、役割定義を行ない、等級差を検討しますが、その際の実務的な判定法について解説致します。
等級間に重要な差を見出すには
等級差の判定は以下の実務手順により、行ないますが、最も困難なのは、手順④の等級間の重要な差の判定です。
①職種別・階層別「基準職務」の選定。
②「基準職務」を構成する「課業」(分業・分担が可能なまとまり仕事)について成果責任・権限・必要な職務遂行能力等を調査し、整理統合して基準職務の「役割定義」を検討。 ③「基準職務」の「役割定義」を基に、上下に実在する全職務の実態に合わせて変化させ、全職務の「役割定義」を検討。 ④全職務の「役割定義」を相互に比較し、重要な差を判定して等級付けを検討。 |
等級差判定のポイント
等級差は、「その職務が何故その等級なのか」を経営者から一般社員までの各層から見て理解、納得できるよう「役割定義」に示さなければなりません。一般的には成果責任の違いが等級差判定のポイントで、典型例は次の通りです。
[役割定義のポイント・典型例]
「管理職3」を基準職務として、手順③④により、等級差を判定した例。
階層 | 役割定義のポイント | ||
成果責任 | 権限 | ||
管理職1(部長職) | ・部の営業目標達成 | 部の営業予算
部組織の統轄 |
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管理職2(専門職) | 重要な特定営業目標達成による部の営業目標達成貢献 | プロジェクトチーム予算
プロジェクトチームの統轄 |
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管理職3(課長職) | ・課の営業目標達成 | 課の営業予算
課組織の統轄 |
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一般社員1 | ・○○地区営業目標達成 | 下級者の指導 | |
中略 | |||
一般社員5 | 年間・月別売上実績表の作成 |
本例は「管理職2」の成果責任・権限等の重要性から、「管理職1」と「管理職3」の中間位置付けが適当と判定した例です。なお、職務遂行能力は省略してありますが、重要性・困難性の判定要素となります。
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。