介護休業法の改正の動き
厚生労働省は1995年の施行以来ほとんど見直しされていない介護休業制度の規定について「介護による離職ゼロ」を目指すため、法整備に動き出しました。労働政策審議会が育児・介護休業法等を改定する法案を近く国会に提出します。介護のために離職する人は年間10万人います。働き盛りの社員が退職すると企業にとっても痛手であり、損失でもあります。
現行の介護休業法は、介護が必要な家族1人に付き介護休業は原則1回しかとれません。それを93日の範囲で3回まで休めるようにします。短時間勤務等ができる期間の延長、残業の免除制度等も案に上っています。
雇用保険の介護休業給付金
介護休業を取得した時に雇用保険から給付される介護休業給付金は、賃金の40%の支給率でしたが67%に引き上げられる予定です。介護休業が必要になってくるのは75歳以上の高齢者を介護するケースが多く、2025年には2200万人に増えるとされています。子供の世代は兄弟姉妹の数も少なく、未婚の人も多いことから、男女問わず親の介護に直面する人が増えることが予想されます。給付率を上げることで制度を利用しやすくなると言えるでしょう。
仕事を続けながら介護するには
企業は長時間労働で仕事をこなせる人ばかりをそろえるとはいかなくなってくる事が予想されます。短い時間でも成果の上がる働き方を推進することが、より必要になってくるでしょう。時間的制約のある社員を使っても生産性を下げない働き方ができるようにすることが課題となるかもしれません。
介護休業制度は介護体制を整える期間としての位置付けであり、長期に介護休業を取ることは難しいものです。自治体の介護サービスの拡充も欠かせないでしょう。しかし介護分野は労働力不足が大きい業界であり、働き手確保のための処遇改善は大きな課題となっています。