目標管理制度を活用している多くの企業の中で、「目標管理制度は上司と部下に共通する基本的なマネジメントサイクルそのものである。」と定義し、「目標設定-進捗管理-達成度評価(PLAN-DO-SEE)のサイクル」に注力して制度運用を図ろうとしている企業があります。
マネジメントを重視する利点
このように、マネジメント重視の運用を図る場合の利点としては次の事項が挙げられます。
①目標設定・達成基準設定の具体性や精度向上が図られる。
②P-D-S(またはP-D-C-A)を上司と部下が徹底することで、プロセスの障害発見・除去等の管理がうまく行き、目標達成力が向上する。
③達成度評価の上司・部下間のズレが小さくなり、納得性が向上する。
注意が必要な点
「目標管理制度」のマネジメントサイクル重視は、制度の目的から見ると、必要条件であり、十分条件とは言えませんので、その運用を行なう場合、次の点に注意する必要があります。
①「目標管理制度」は「業績管理制度」ですから、中期経営計画、年度経営計画からカスケードダウン(順次細分化)された目標設定でなければなりません。
②近年は役割・成果主義の評価が重視される傾向があり、その場合は「役割グレード・期待貢献の設定と目標達成度評価」が対応付けられ、賃金等の処遇に反映されて動機付け効果を生み出さなければなりません。
③目標管理制度には、その運用を通じて人材育成を図る機能があり、マネジメントサイクル重視と併せて注力しなければなりません。
経営者・管理者の留意点
このように、目標管理制度は「業績管理制度」であると言う基本機能を中心として、多面的な機能があります。それらを認識しつつ、個別企業が置かれた状況、課題に応じて弱点の改善、強みの強化策を目標管理制度運用や人事賃金制度改革で実現したいものです。