家康の隠居先が「駿府」であった理由
関ケ原の戦いで西軍に勝利した徳川家康は、慶長10年(1605年)に将軍職を子の秀忠に譲った後、駿府(現在の静岡市)に隠居しました。わざわざ「駿府」に隠居した理由については、家康が好んでいた富士山が見えて、鷹狩りの良い場所があり、好物の茄子(折戸茄子)があるからとも言われています(いくつかある「一富士二鷹三茄子」の由来の一つとなっています)。
もっとも、駿府は、家康がその幼少期に今川家に人質として暮らしていた地でもあります(太原雪斎に12年学んでいました)。「引退後は気心が知れた土地で暮らしたい」という気持ちもあったのかもしれませんね。
現行ではマイホーム売却時に「5つの特例」
家康と同じように「引退後は田舎に住み替えたい」という方がよくいらっしゃいます。このような場合、現在の居宅を引き払わなければなりませんが、マイホームを売却した場合には、所得税・住民税(土地・建物の譲渡所得)の5つの特例があります。
⑴ 譲渡益が生じる場合の特例
譲渡益が生じる場合の特例には、①3,000万円の特別控除、②居住用財産(10年超所有)の軽減税率の特例、③特定居住用財産の買換えの3つの特例があります。
細かな要件がいくつかありますが、①と②は重複適用できます(③については、①や②との重複適用はできません)。
⑵ 譲渡損が生じる場合
譲渡損が生じる場合については、④居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除と⑤特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除(住宅ローンが残っているマイホームを売却)の2つの特例があります。
「住み替え税制」検討(地方居住を後押し)
これらの所得税の特例は2015年12月31日に期限切れとなるものがいくつかあります。新聞報道では、政府はまず単純延長した上、ローンを組んでいなくても特例が適用できるなど内容を見直し、2017年度の税制改正で盛り込みたいようです。具体的には、高齢者がローンを組まずに地方の賃貸住宅に移り住む場合でも所得控除を受けることができる形を考えているようです。