記事投稿日:2015.11.10
「流動性配列法」とは?
貸借対照表の資産・負債の並べ方にはルールがあります。資産・負債を流動性の高い順から並べていく方法を「流動性配列法」、その逆を「固定性配列法」といいます。
日本の会社では「流動性配列法」が一般的です。この配列法は、資産の換金性や負債の支払期限の長短から流動性の高い順に並べることで、支払能力を表現するには良い手法とされており、企業会計原則や財務諸表規則で採用されています。
「支払能力」が着目される商社などには正にフィットする配列法です。例えば、三菱商事の貸借対照表(単体)は次のような配列になっています。
三菱商事単体BS(2015.3)(兆円)
資産 | 負債・純資産 |
流動資産 3.5
固定資産 4.7 |
流動負債 1.8
固定負債 3.7 純資産 2.7 |
合 計 8.2 | 合 計 8.2 |
「固定性配列法」とは?
固定性配列法は、英国、香港、ドイツなどで用いられており、日本では固定資産が重要視される電気業やガス業で採用されている方法です。例えば東京ガスの貸借対照表(単体)は次のような配列になっています。
東京ガス単体BS(2015.3)(兆円)
資産 | 負債・純資産 |
固定資産 1.4
流動資産 0.4 |
固定負債 0.6
流動負債 0.4 純資産 0.8 |
合 計 1.8 | 合 計 1.8 |
上場企業の連結BSはIFRS導入で様々に
近年ではIFRS(国際会計基準)を導入している上場企業の連結貸借対照表は、「固定資産・負債」は「非流動資産・負債」という区分になり、配列法もヴァリエーションが出てきました。例えば、日本硝子の連結貸借対照表を見てみましょう。
日本硝子連結BS(2015.3)(兆円)
資産 | 負債・資本 |
非流動資産 0.6
流動資産 0.3 |
流動負債 0.3
非流動負債 0.4 資本 0.2 |
合 計 0.9 | 合 計 0.9 |
資産は「固定性(非流動性)配列法」、負債は「流動性配列法」となっています。少し不思議な感じがしますよね。
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。