記事投稿日:2015.09.09
「取引先持株会」株式とは
毎月数万円ずつ積み立てて取引先の会社の株式を取得する仕組みです。取引先から安定株主として協力してほしいとの依頼で、それほどの負担になりませんのでお付き合いで行っている企業も多いかと思われます。
「投資有価証券」の科目で処理し決算時には上場企業の場合は時価で、非上場企業の場合は取得価格で貸借対照表の投資等の部に計上します。
しかし税務上時価評価は認められませんので、資本の部に「その他有価証券評価差額金」(全部純資産直入方式)と言う科目を設けて処理する方法が一般的です。監査法人等の監査を受けていない中小企業にあっては、取得価格で表示している場合も多々見受けられます。
問題は配当金です
毎月定額で株式を取得していますが、配当金も株式の取得に充てられます。毎月の定額の取得は、預金等から資金の移動がありますから、計上漏れはありませんが、配当金は、通知が来るだけで全く資金移動はありません。しかも通知と言っても現在では、葉書形式の簡単なものです。
何年も気が付かずにいると、株式の計上漏れの金額も多額になってきます。
配当金の処理
配当を受けその資金で新たに株式を取得した場合の処理は以下となります。
配当金 10万円
源泉所得税 2万円
(現在は復興特別所得税が掛かりますから、20.42%ですが便宜上20%とします)
投資有価証券 8万 受取配当金 10万
法人税・住民税等 2万
要は整理整頓
「取引先持株会」の株式を取得されている企業の経理担当者は、「持株会」ごとに専用のファイルを作成し、全ての通知を保管するようにしましょう
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。