東京都で弁当の路上販売規制強化
お昼時、オフィス街で安く手軽に購入できる弁当の路上販売。ここ数年、路上に大量の弁当等を陳列して販売する形態が多く見られるようになりました。これに対し、東京都では衛生環境等を懸念する声から対応を検討していましたが、いよいよ今秋から具体的な規制がされることになりました。
「弁当等人力販売業」で許可制に
東京都内で弁当販売を行うためには原則、施設基準や一定の資格を要する人的基準を満たした上で許可を受ける必要があります。しかし、弁当を「人力による移行」で販売する場合は「行商」に当たり、この場合、これまでは「許可」を受ける必要はなく「届出」をすれば足りるとされていました。これは、行商が「人が一人で運搬できる量を取り扱う」小規模な営業を想定していたことから来ていましたが、近年では業者の大多数が弁当の運搬に自動車を使っており、本来の想定よりも大規模な営業を行っている実態などを受け、「弁当類」「そう菜類」の移動販売業者を「弁当等人力販売業」として許可制にしたのです。
「許可」と「届出」の違いとは?
そもそも「許可」と「届出」ではどのように違うのでしょうか。「許可」とは、公共の安全や秩序の維持などの公益上の理由から、法令で一般的に禁止されている行為について、特定の場合に限ってその禁止を解除する行政行為を言います。たとえば今回の例で言うと、食品を販売することは、本来誰でも自由にできるはずです。しかし、食中毒などが発生する場合を考慮し、法令で自由に販売できないようにしています。これに対し、食品販売に関する営業許可をとることにより、この禁止を解除できるようにしているのです。次に「届出」とは、法令で定められている特定の行為について、一定の事項を予め行政官庁へ通知することを言います。「許可」の場合、申請した行政官庁から「許可」や「不許可」の判断を受けますが、「届出」には行政官庁の判断がなく、必要な要件(書類)を満たしてさえいれば、行政官庁に到達することで完了します。
このように、どちらも同じ行政上の手続きですが、両者でその性質が異なります。今回の条例改正で「届出」から「許可」になり、衛生面が向上することに期待が持てる一方、少なからず業者に負担がかかるわけですが、他の道府県での対応も含め、今後の販売にどのような影響が出るのか、気になるところです。