記事投稿日:2015.04.06
労務管理研究所の調査によれば、目標管理制度の導入企業は8割に上りますが、その殆どは、業績評価に活用していると見られます。目標管理制度が全職務に適用されている場合、これをさらに一歩進めて、目標管理制度上の評価をもって人事評価とする仕組みをつくっておくと、経営管理上様々なメリットが生じます。
評価一元化の方法とメリット
例えば次表のように、自社の評価・処遇の関係を対応付けて整理します。
[ 評価・処遇の関係(例)]
目標管理制度の評価項目 | 人事評価制度の評価項目 | 処遇反映等 |
目標達成度 | 業績 | 昇進、昇給・賞与 |
プロセスでの発揮能力 | 能力(発揮能力) | 等級昇格
能力開発 異動 |
プロセスで示した意慾的行動 | 意慾 | 昇進
賞与 異動 |
この対応が的確に出来ると、目標管理制度の評価項目について評価することで、人事評価制度の評価も行なわれ、評価が一元化し、処遇等に連結します。
すなわち、担当者は目標管理のプロセスで能力を発揮し、意欲的行動を示して目標達成を図ること、管理者は目標達成へ向けて担当者を支援しつつ、評価材料を得て評価することにより、評価の一元化が図れます。このような一元化のメリットは次の通りです。
(1)社員にとって、目標達成に努力し、そのプロセスと結果で人事評価を受けることが明快になり、公正性・納得性が高まる。
(2)その評価が処遇に反映される仕組みの下で、必然的に社員と管理者の目標管理制度への集中度が高まるので、業績管理制度としての機能も向上する。
(3)目標達成へのOJTを通じて目標管理制度の能力開発・人材育成機能が向上する。
(4)評価実務の効率性が高まり、管理者の負担が軽くなる。
経営者・管理者の留意点
この仕組みに、コンピテンシー評価、経営理念に基づく意識・行動評価などを取り入れると、より高度化された目標管理制度に進化することになります。
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。