「収益・認識の認識基準」は2つある!
会計の重要な役割に「損益計算」があります。この「損益計算」を単純な算式で表せば、次のようになります。
総収益-総費用=純利益(純損失) |
会社や個人事業者の方などビジネスを行う方にとっては、事業年度や年という「期間」ごとに損益の計算を行う必要があるため、その期間の損益を計算することを「期間損益計算」といい、上記の算式の総収益や総費用がどの「期間」に属するか決めることを「認識」といいます。この収益・費用の認識基準の基本的なものには「現金主義」と「発生主義」の2つがあります。
「現金主義」では収入・支出の時に計上
「現金主義」とは、収益が現金で収入した時(期)に、費用は現金を支出した時(期)に計上する基準です。このやり方は、単純であるとともに、客観性や確実性に優れていますが、今日の複雑な経済活動の下では、掛取引などの信用取引も多く、現金主義では、事業の努力(費用)と成果(収益)が必ずしも一つの期間に関連づけられないこともあり、「期間損益計算」の基準としては有用でない面を持っています。
「発生主義」では「取引」の発生時に計上
これに対して「発生主義」とは、現金の収支によらず、収益・費用が「発生」した時(期)に計上する基準になります。「発生」とは簿記の考え方から言えば、「資産」「負債」「純資産」に増減をもたらす「取引」が生じることと言い換えられます。
たとえば、商品の販売時には、「売掛金」という代金の請求権が生じることになります。この「売掛金」が生じることは、簿記では「資産」が増加する「取引」と捉えているため、実際に現金が回収されるのをまたず、商品を販売した時点で売上(収益)を計上すると考えるわけです。
貨幣性資産の裏付け(実現主義)も大事!
ただ、商品を販売した時というだけでは、「得意先と契約した時」なのか、「商品を引渡した時」なのかわかりません。そこで「実現主義」の考え方が援用されます。「実現」とは「その財貨や役務が貨幣性資産の裏付けを持つこと」です。商品販売の場合、「商品の引き渡し」をもって、反対給付である「売掛金」が請求できるため、「引渡しの日」に売上を計上することになります。