国際課税についての主な改正項目は、外国子会社配当金益金不算入の見直しと外国子会社合算課税の見直し等が挙げられます。以下、その内容を概観してみます。
●外国子会社配当金益金不算入の見直し
これは、子会社の所在地国で損金算入が認められる配当については、支払を受けた日本の親会社の益金に算入して課税する、といったもので「二重非課税」を防止するための改正です。
具体的には、内国法人が外国子会社(持株割合25%以上等の要件を満たす外国法人)から受ける配当等の額で、その配当等の額の全部又は一部が当該外国子会社の本店所在地国の法令において当該外国子会社の所得金額の計算上損金の額に算入することとされている場合等には、その受ける配当等の額を、本制度の適用対象から除外するとするものです。
この改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度において内国法人が外国子会社から受ける配当等の額に適用します。
なお、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において内国法人が外国子会社から受ける配当等の額(平成28年4月1日において有する当該外国子会社の株式等に係るものに限る)については、従前のとおりの扱いとなっています。
●外国子会社合算課税の見直し
この改正は、基本的には日本企業の海外展開を後押しする内容となっています。
具体的には、①特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆるトリガー税率)を20%未満(現行20%以下)に変更する、②被統括会社は、外国法人であることが前提ですが、所定の要件を満たす内国法人を加える、③統括会社の要件のうち、二以上の被統括会社に対して統括業務を行っていることの要件を、二以上の外国法人である被統括会社を含む複数の被統括会社に対して統括業務を行っていることに改める、④事業持株要件に、統括会社の有する株式等の帳簿価額の合計額又は統括業務の対価の額の合計額に対して外国法人である被統括会社の株式等の帳簿価額の合計額又は統括業務の対価の合計額の割合が50%を超えていることを加える、です。
この改正の適用は、特定外国子会社等の平成27年4月1日以後に開始する事業年度からです。