企業で一般に活用されている目標管理で次のような問題が生じています。
①目標設定対象外業務が社員に軽視される。
②一定等級以下の社員を対象外とする場合、全員参加の経営にならない。
③全社員を適用対象とすると、下級者まで含めた管理者の制度運用マネジメント負荷が過大になる。
一方、一般に実施されている「改善提案制度」にも次の問題があります。
①運用がうまく行かず、提案件数が少ない。
②提案件数が多い場合でも審査担当管理者が改善対象現場に詳しくないため審査に多大な時間を要する、想像で審査せざるを得ないなど無理が生ずる。
目標管理に改善提案を統合する利点
このような問題を総合的に解決する方策の概要とメリットは次の通りです。
・従来の「改善提案制度」を「目標管理制度」に統合する。
・従来は改善提案制度の対象としていた小改善の効果を、目標管理制度の部署目標(一人当たり目標)として設定する。
・それぞれの部署内で、改善提案を受け付け、その内容を管理者の権限で一定期間実施してみて、効果を確かめた結果を会社に報告、登録し、実績とする。
[目標管理に改善提案を統合する利点]
①全員参加の目標管理(一定等級以下の社員も目標管理の対象)とすることが出来、管理者の負荷も過大にならない。
②一定等級超の社員にとって従来の目標設定外業務も小改善・部署目標の対象範囲となり、軽視する傾向が防止できる。 ③小改善が現場の実務判断で的確、効率的に進み、件数が向上するとともに審査の手数が大幅に軽減される。 |
経営者の留意点
「目標管理に改善提案を統合」する利点を活用し、社員のモラール向上、全員参加で改善に取り組む組織風土を開発したいものです。その場合次の点に留意しましょう。
1.管理者の改善実施権限(費用支出他)、および評価ルール(質的改善効果の点数換算など)の工夫と明確化。
2.部署と部署内職場ごとの一人当たり改善登録実績を評価し、社内に順位を公表、表彰するとともに報奨金を支給する(上位表彰で、職場のお祝いパーティーが出来る程度が目安)。