目標管理制度では、部下が是非取り組みたいと思わないのに、その意に反して上司から強制される“押しつけ目標”の設定は部下の主体的な取り組みを生み出さないので、避けるべきであることは当然です。
“押しつけ目標”の発生原因
“押しつけ目標”は、管理者が会社から成果を求められているので、それが自分の処遇に直結するという心理的な圧迫感を生み出し、焦りから部下に対して自分の目標を分担してもらいたい、と機械的に働きかける結果、強制的な押しつけと取られることが発生原因となるケースが多いようです。
言い換えれば、部下にとって納得感のある上司の目標設定マネジメント力が不足した結果、生じる現象であると言えます。
“押しつけ目標”の排除策
このような“押しつけ目標”を排除するには、管理者の目標設定マネジメント力の向上が不可欠で、目標管理制度の原点に帰って、目標設定プロセスを改善しなければなりません。すなわち、「会社の発展・事業戦略の進展を図るには、自部署と個々の社員が、自らの役割を十分に果たし、その結果、会社も自分も共に成長することが不可欠である。」と言う、言わば当然の認識に立って目標設定に取り組むことが必要です。
これを目標設定マネジメントの実務プロセスに沿って述べますと、次の通りになり、押しつけ目標”の排除に効果的です。
①部下全員に会社の事業戦略における自部署の役割と具体的目標を説明し、理解を求める。(その際、十分な質疑応答で納得してもらう。)
②自部署の目標達成のために、部下が果たすべき役割、設定目標を考えてもらう。(部下は自ら考えたこと、発言したことについては納得感を持ち、押しつけられた、と感じない。) ③上記①②を踏まえて、個々人の目標設定面接を行ない、自部署の目標と担当者自ら考えた目標の整合性、本人の成長目標との関係を確認する。 |
トップの留意点
トップは、管理者の目標設定マネジメント力向上研修の機会を設け、相互に目標設定プロセスの工夫を交換、相互啓発を図るなど、管理者の能力向上に努めるべきです。