創業100年以上の長寿企業が多い日本
他国に比べると日本は長寿企業数が多いと言われています。その背景としては日本が島国で侵略された事が無かった事も大きいでしょう。継続的な家制度の存在もあり、家業として始まり長男が後継ぎになったり、養子、娘婿が継ぐと言うケースが多かったからでしょう。そして第一次世界大戦、関東大震災、昭和恐慌、第二次世界大戦、石油ショック等、戦争、天災、経済危機を乗り越えてきました。
長寿企業の変わるものと変わらないもの
商工リサーチの調査によると長寿企業の時代が変わっても変わらないものは「顧客第一主義」「本業重視」「品質本位」「製法の維持」「社員重視」「企業理念の維持」等が挙げられており、そして一方では伝統を継続しつつも新しい事や経営革新にも積極的に取り組んできた事がわかります。そして変えてきたものは「商品サービスに関する顧客ニーズへの対応」時代やニーズに即した商品やサービスの提供を実行し販路開拓も行ってきたという事でしょう。
しかし、このような事は長寿企業の特徴と言うより、経営の本質でもあります。
帝国データバンクの長寿企業アンケート約800社回答によると大切にしている事を漢字で表すと第1位は「信」で2位は「誠」以下「継」「心」「真」と続きます。信用と信頼を築き誠実に商いを継続してきたということでしょう。その一方で「変」「新」も上位にあります。また、自社の社風を表す漢字としては「和」が圧倒的に多く、「進」も上位にあり、顧客、取引先、地域、社員との和を重んじ一丸となって進んできたと言うところでしょうか。
家訓・社是・社訓は8割近い企業にある
長寿企業の8割近くが家訓・社是・社訓等企業理念を持っています。根本的な経営の指標となり、社内の価値観の共有化を図ってきたのでしょう。
松下幸之助氏がこのような言葉を残しています。「会社の成否の50%は経営理念の浸透で決まり、30%は社員のやる気を引き出す仕事の仕組みで決まり、残りの20%は戦略、戦術である」と言っています。時代が変わっても企業理念を伝える事で、企業の精神的支柱、経営方針の根幹であり続けて来たのでしょう。