質問応答記録書作成の手引
最近、税理士会のデータベース室が情報公開請求で得たものとしてTAINSに掲載されているものに「質問応答記録書作成の手引」というのがあります。
それによると、質問応答記録書は、質問検査等の一環として、調査担当者が納税義務者等に対し質問し、回答を受けた事項のうち、課税要件の充足性を確認する上で重要と認められる事項について、その事実関係の正確性を期するため、その要旨を調査担当者と納税義務者等の質問応答形式等で作成する行政文書である、とされています。
また、課税処分のみならず、これに関わる不服申立て等においても証拠資料として用いられる場合があることも踏まえ、第三者(審判官や裁判官)が読んでも分かるように、必要・十分な事項を簡潔明瞭に記載する必要がある、とも書かれています。
署名押印を求めるがコピーはさせない
質問応答記録書では、問いは短く、答えは長く記載することとし、その作成後、質問応答の要旨に記載した内容を読み上げ、記載内容に誤りがないことを確認した上で、末尾に、回答者に署名押印を求める、とされています。
署名押印前か後かを問わず、質問応答記録書の写しを求められても、交付してはならない、とも書かれています。(但し、個人情報保護法による開示請求をすると開示はされます。)
なお、誘導尋問(質問内容に質問者が期待する答えが実質的に示されており、回答者が単純に「はい」「いいえ」と迎合的に答えるような尋問)になり易いところから、これを抑制もしています。
署名押印は強制されない
質問応答記録書への署名押印を強制する権限は課税庁にありません。署名押印拒否の場合は、拒否の旨、拒否理由を述べる場合にはそれを付記する、とされています。
調査官の印象を悪くしないためになどという迎合的な気持ちで安易に署名押印すべきでないことは民主主義社会の独立した個人としては当然の矜持です。
例え記載内容に異議がないとしても、文書の利用目的、保管のされ方、自分にとっての有利不利などの説明要求、写しの提供要求、セカンドオピニオンとしての税理士の意見聴取、改ざんできない保証措置、などは署名押印に応じるための最低条件とも言えます。