“コーチング”は人材開発技法の1つであり、対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術で、その特徴は上手な質問で相手の話を引出し、感じたことを伝えて承認することを通じて、自発的な行動を促す点にあります。
目標管理におけるコーチング活用
“コーチング”は目標管理制度でよく使われます。例えば上司の管理者と部下が目標設定面談を行なう場合、その目的は部下が検討してきた目標案について話し合い、必要な修正、補強を行なって、最終的に承認する、即ち目標設定の合意形成にあります。その時のコーチング活用のやり方は、
1.部下の目標案について説明を聞く。
2.管理者が、部下に「なぜその目標が良いと思ったのか」理由を質問する。 3.その答えに納得できれば、承認し、合意形成が出来たので目標設定は終了する。 4.もし、その答えに納得できない場合、管理者として部下に、再検討、修正を求める。その場合、 (A)管理者が一瞬にして、部下の検討不足や、誤りを判断し、それを具体的に指摘して修正を求める。 (B)コーチングを活用して、部下自身に、修正の必要性を判断させる。実務上は、このケースが多いと思われ、「君の原案通り設定した場合、その後どうなって行くだろうね?(フィード・フォワード質問)、その案を具体的にした時どうなるだろうね?(具体化質問)」などの質問を行ない、部下自らが原案の問題点を考え、気付くように仕向け、納得できる答えが出たところで承認する。 |
このやり方は目標設定面談に限らず、中間面談、最終面談のケースにも使えます。
人間は頭から指示されること(A)を嫌い、自ら考えて判断し、決めたこと(B)には納得するものです。言い換えれば、人間の本性は、ロボット化される(指示される)ことを嫌い、主体的であることを好むのです。
経営者の留意点
「コーチングは、人に云いにくいことを、相手を傷つけずに気付かせる技術」とも言えます。経営者から見て、相手が役員・上級管理職であっても同じように何かもっと理解して欲しいこと、主体的に行動して欲しいことがある場合には、コーチングを活用すると良いでしょう。