記事投稿日:2014.04.02
証拠はない。それがどうした?
民事上のトラブルがあり、裁判を起こしたいと勢い込んで弁護士や司法書士に相談したら、証拠は?こういう書面はないか?と言われ意気消沈した経験はないでしょうか。しかし、これには理由があります。
証明責任とは
裁判で当事者が立証を尽くしても、争点たる事実の有無を裁判官が確信できない場合があります。その場合、裁判所はどちらか分かるまで進んで自分で調査することはしませんし、どちらか分からないから判決は出さないと職務放棄することもできず、いずれかの結論を出さなければなりません。このように、真偽不明の場合に結論を下すことでいずれかの当事者が被る不利益のことを証明責任といいます。
どの事実についてどちらが証明責任を負うかは、おおまかに言えば、自分に有利な法律上の効果の発生を求める者は、その根拠法令が要件とする事実について証明責任を負うことになります。貸金請求を例にとると、貸主は金を貸したこと、つまり、金の授受、返還の約束を証明する必要があります。相手方がこれを否定する(金自体受けていない、借金でなくもらった)ためには、真偽不明に追い込むべく反対証拠を出す必要があります。逆に、相手方が返済済みであることを主張するならば、返済の事実についての証明責任を負います。
本人の供述も証拠にはなるが・・・
民事訴訟法上、定められた証拠方法は、文書、検証物、証人、当事者本人、鑑定人があります。当事者本人とあるように、本人が裁判所で自ら証言しても証拠となりますが、客観性を持つ証拠方法があればそれに超したことがないのはもうお察しのことでしょう。
冒頭の事態にならぬためには、契約書、議事録等目に見える証拠を用意しながら進めることが必要です。
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