記事投稿日:2014.04.17
賞与制度は一般的には業績向上へ向けて社員の意欲を高めるインセンティブとして活用されています。
バブル経済崩壊後、2000年頃から業績連動型賞与制度が増加し始め、日本経団連の調査によると2011年には導入企業が48%に達しています。
近年の事例からもう少し具体的な活用目的を見ると次のA~Eの5つの類型があります。
[賞与制度の活用類型・目的]
類型 | 活用目的 |
類型A
戦略志向型 |
長期・中期・短期戦略の事業目標達成に向けて社員を動機付ける。 |
類型B
組織風土改革型 |
脱年功・実力や業績を重視して賞与を配分、組織の活力向上、風土改革を図る。 |
類型C
業績貢献配分型 |
成果・貢献に報いることを重視し、成し遂げた部門・社員に応分に配分する。 |
類型D
外部環境激変対応型 |
経済環境激変があっても賞与額の変動幅を抑え、利益額と賞与額がより連動可能な制度とする。(2008年のリーマンショックを契機として生まれた類型) |
類型E
年俸制・賞与一体型 |
年俸を業績貢献に応じて決定し、その一部を賞与で支給(500人未満企業の約30%が採用している年俸制に賞与を組み込む類型) |
これらの活用目的は、類型C(業績貢献配分型)と他の類型を組み合わせた複合目的が多くなっています。
例えば、経営者が自社の問題点を踏まえて年功的な処遇制度から実力・業績に応じた賞与配分を行ない、組織の活力を上げたい、とすれば類型Bと類型Cの複合目的で賞与制度を設計することになります。
トップの留意点
賞与制度の活用目的は、業績評価の仕方、賞与額決定の仕組みとして具体化することになります。したがって、トップの経営の現状判断、問題意識と「自社をどのように変えて行きたいか」という意思決定に基づいて活用目的を決定すべきです。
また、業績評価で賞与に差を付けたい場合は公正性、納得性を持つ評価制度の整備が必要不可欠であることに注意が必要です。
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。