記事投稿日:2014.03.17
お墓は遺産にあらず
相続では財産の承継のみならず、お墓を誰が守るかでも揉めることがあります。これは、どのように決まるのでしょうか。
民法は、祭祀財産を、遺産として遺産分割の対象とするのではなく、別の規定に基づき祭祀主催者が承継すると規定しております。祭祀財産の種類は、系譜、祭具及び墳墓であり、お墓は「墳墓」に該当します。なお、遺骨は、これ自体は祭祀財産ではありませんが、判例は、慣習に従って祭祀を主宰すべき者に帰属するとしています。
祭祀財産とは何か
祭祀財産は、遺産分割の対象外である上に、差押禁止物であり、かつ、相続税のかからない非課税財産です。これらはわが国の祖先崇拝という習俗等を考慮したものですが、その趣旨を逸脱して、専ら、脱法的な、あるいは、鑑賞の目的のために、祖先祭祀という趣旨を逸脱し、または、その機能が既に失われた場合には、通常の財産・遺産として扱うべきです。
誰が承継することになるのか
祭祀財産の所有者(被相続人)が死亡すると、祭祀主催者がこれを承継します。祭祀主催者は、以下の通りに決まります。
①被相続人の指定(生前行為でも遺言でもよく、口頭・書面、明示・黙示のいかんを問わない)があればその指定に従う。
②①の指定がない場合は、慣習に従う。
③①の指定も②の慣習でも明らかでない場合、①の指定や②の慣習の有無やその内容等に争いがあるような場合は、家庭裁判所が指定(審判)する。
③の指定の基準は、判例により、「承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係、承継候補者と祭具等との間の場所的関係、祭具等の取得の目的や管理等の経緯、承継候補者の祭祀主宰の意思や能力、その他の一切の事情(例えば利害関係人全員の生活状況及び意見等)を総合して判断すべきである」とされています。
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。