帰属主義・総合主義とは
帰属主義とは、外国法人等が支店等の恒久的施設(PE)を有する場合、当該外国法人等の所得のうち支店等に帰せられるすべての所得についてそのPEの所在地国において課税を行う方式、一方、総合主義とは、国内にPEがある場合、当該PEにすべての国内源泉所得を総合して課税する方式をいいます。
両方式による課税の範囲の相違
帰属主義によれば、国外源泉所得であってもPEに帰せられるものは課税の対象としますが、他方、PEに帰せられない所得についてはその所得が国内源泉所得であっても当該恒久的施設の所得として総合して課税さることはありません。恒久的施設に帰属しない国内源泉所得(利子、配当、使用料等の投資所得)は、源泉徴収により課税関係が完結します。
一方、総合主義では、国外源泉所得は課税対象外とされ、原則、事業所得及び投資所得を含むすべての国内源泉所得、例えば国内の支店等を通さない本店直取引による所得も合算して総合課税が行われます。
国内法上の課税方式
我が国の国内法は、総合主義を採用しています。しかし、各国との租税条約では帰属主義を採用し、国内法における国際課税のルールと条約上のルールとが必ずしも一致していません。
この結果、恒久的施設に帰属する国外源泉所得は課税されず、また、総合課税されるべく本店直取引による所得についても租税条約優先で課税の空白が生じています。
帰属主義への見直し
殆どの国が帰属主義を採用していること、また、OECDモデル租税条約新7条の改定を踏まえて、二元化された課税原則の統一及び内部取引の認識による二重課税・二重非課税のリスク回避の観点から、政府税制調査では帰属主義への見直が議論されています。その骨子は次のようなものです。
①PE帰属所得については、本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に得られる所得とし、②内部取引については独立企業間価格によるものとし、その損益を認識する。支払利子の損金算入を規制するために、③PEへの資本の配賦・PEの支払利子控除の制限、そして、二重課税防止の観点から、④外国法人等のPEのための外国税額控除の創設、⑤国内法人等の国外PEに関する外国税額控除等です。