研究開発業務、システム開発業務などで、当初から2年以上の期間が必要とされている場合、通常1年以内の期間を区切りとして目標達成度を評価する目標管理制度の仕組みでは、目標の設定が困難です。
例えば新製品の開発業務では、市場のニーズ動向と技術的シーズを組み合わせて市場で優位に立てる製品開発を目指すわけですが、製品改良のケース以外では何らかの新技術開発を伴う場合など困難なプロセスがあり、開発方針は示されているが具体的開発プロセスは動き出して見ないとどのような手順で開発を進めたら良いのか見当がつけられない、と言ったケースがあります。
長期業務の目標設定方法
このような長期業務では、年度毎の成果イメージにこだわりすぎず、開発製品の性能、競合他社製品との差別化ポイントなど最終ゴールの姿を定義した上で、そこに到達するプロセスのマイルストーン(里程標)イメージを具体的に記述し、その中から年間到達目標を設定すると良いでしょう。
しかし長期業務の成果を追求する場合、プロセスの生産性向上策と年度別評価の在り方が、担当者のモラール向上と成果創出に大きな影響を持ちますから注意が必要です。
プロセスの生産性重視
長期業務はチーム(2名以上)によって取り組む場合が多く、研究開発・技術開発などの現場で、そのチームがいかに「創造的な開発業務をスピーディーに推進できるか」、言い換えれば「チームの知的生産性の高さ」が「マイルストーンと最終成果の質とスピード」を決定付けます
このように、長期業務では1年ごとに目標を設定できる短期業務と比較して「プロセスでの創造性」が成果に与える影響が格段に大きいのです。これを目標設定の視点から見ると、「プロセスの生産性を評価するプロセス目標」を設定するとインセンティブ効果が期待できます。
長期業務の年度評価
年度の実績評価の段階では「マイルストーンの質的達成度や到達スピード」などについて、「長期業務最終ゴールに対する接近度」を基準に評価することが適切です。
なお、一般に納得が得られにくいケースなので、経営者が高い専門能力を持つ管理者と合意形成して評価を決定すると被評価者の納得が得られ易いでしょう。