成果目標を設定する場合、数量で表現できない、または数量的に表すことがかえって目標の本質的な意味を見誤ったり、曖昧にしてしまう場合があります。
業務の質的向上目標が必要な場合
例えば、「営業遂行の仕組みを持っているが、受注から納品までの何らかのミスが原因で顧客に迷惑をかけており、クレームの状況から信用を損ねている」などの問題がある場合、その真の原因を突き止めて改善することが必要になります。その場合の目標は、例えば「受注・納品業務のミスによる納品遅れを再発防止し、クレームを皆無にする。」とし、顧客の信頼を回復する業務の質的改善を目標とするのが適切であり、単に「受注・納品作業ミスの減少」などとすると、かえって顧客の信頼向上を意識しない社内の事務改善目標に陥る可能性があります。
別な例を挙げますと、顧客のご満足を高め、当社のファンとなって頂くためにマーケティング施策として、新製品発表会を開催する場合、その結果として招待顧客の反響、発表内容の理解度、新製品の評価・関心度など、「従来の実績に比較した発表会の質的改善度」で目標を設定するのが適切であり、単に「発表会の来客人員」など、質と無関係な数量的目標設定は関係社員に改善の本質を見誤らせることになります。
質的向上目標設定の留意点
業務の仕組みや行事・施策の質的向上(改善)目標設定の留意点は、次の通りです。
1.仕事の仕組み、行事などの問題点は、関係部門の社員が普段から感じていることが多く、問題の指摘、改善の方向性など自由な討議の場をつくって抽出する。
2.目標設定対象業務の問題はしばしば複数関係部署の処理作業の連携・協力関係に起因する場合が多いので、担当者の個人目標とするより関係部署の担当者によるチームの目標とする。 3.質的向上目標は、成果の評価が曖昧になりやすいので、質の向上・改善を裏付ける効果測定項目・アンケートその他の効果測定・分析の方法を予め検討し、達成基準をチームとして合意形成しておく。 4.チーム活動の成否は、リーダーの力量にかかっているので、年齢にかかわらず、メンバーを問題解決へ誘導できる求心力を持った人材を選任する。 |