目標管理制度は、企業の戦略目標や年度経営計画の目標を組織と社員の活動を通して達成する業績管理の手段として広く活用されていますが、実際には多くの難しい課題が生じているようです。
どのような課題があるか
代表的な課題を概括して挙げると次の通りです。
①期首において組織目標や個人目標を分かりやすく設定するにはどうしたら良いか
②設定した目標を達成するために、担当社員の自主的な努力と上司の指導、支援の関係はどのようにしたらうまく行くか ③期末の実績評価を社員からみて、公正かつ、納得性をもって行うにはどのようにすればよいか |
このような課題は、個別企業の業種・職種・仕事の内容や現実に働いている管理者・社員の知識・理解能力により、現れ方が千差万別であるため、解決策を提示するのは容易ではありません。
一般に目標管理制度の運用がうまくいっていない、と言われるのはこのような事情があるからなのでしょう。
そうかと言って、課題を放置することは業績管理をないがしろにすることに等しく、何とか解決策を見つけなければなりません。
課題解決、二つのアプローチ
一般の課題解決法には、“帰納法(具体的に現場で起きた事柄から考える方法)”と“演繹法(論理的にかくあるべし、と考える方法)”があります。
それを目標管理制度にあてはめてみると、“帰納法”では、実際に現場で管理者や担当者が遭遇したことを細かく、具体的に抽出して考え、“演繹法”では目標管理制度の運用でよく起こる課題を類型化して、それらに当てはまる解決策を予め考えておき、具体的課題に当てはめて解決します。
経営者の留意点
課題解決の基礎的な方法は、現場主義に立ち、“帰納法”を使うことです。
職場別に起こった事実を管理者達・社員達に発見、記述、認識させ、お互いに発表し合い、共有すること、どうしたら解決できるか話し合わせることが重要で、はじめから“演繹法”で答えを出しては安易な方向へ流れてしまい、自分達が改善しなければならない課題として捉える力を弱めてしまいます