「サザエさん」の銅像に課税の新聞報道
6月12日の新聞に「サザエさん一家の銅像、課税対象に―商店街困惑」という記事が掲載されました。東京都世田谷区の桜新町商店街の名物「サザエさん一家」の銅像12体に固定資産税58万9,200円が課せられたというものです。固定資産税と言っても土地等に係る固定資産税とは異なる、減価償却する資産(機械等)にかかる「償却資産税」が課税されました。
論点① 自治体は非課税団体。商店街は?
第一の論点は「所有者と用途」です。固定資産税は「所有者課税」の税金で、「人的非課税」と「用途非課税」の二つの非課税があります。前者は所有者が国・地方公共団体の場合、課税しないというもの。後者は公共用途などの資産を非課税とするものです。今回の「サザエさん」達は「商店街振興組合」がPR目的(商業用途)で所有していると認定され、課税対象となった訳です。
この「商店街振興組合」は商店街振興組合法で規定により「法人格」が与えられ、法人税法上でも「協同組合等」として納税義務者となります(税率19%)。
論点② 非償却資産か?償却資産か?
第二の論点は償却資産税ですから、「非償却資産」に該当するかという点です。法人税実務でも「創業者の胸像」は、製作者が美術年鑑等に登載されている場合又は素材が貴金属である場合、「時の経過により減価しないもの」として減価償却資産から除かれます。そうなると償却資産税の対象からも除かれます。これに該当しなければ「PR目的の看板」と同じ「償却資産」となります。
法人税か?償却資産税か?
報道だけでは事実関係は分かりませんが、商店街振興組合は法人税の納税義務がありますので、サザエさん像を償却して、減価償却費として経費化していたと思われます。そうでなければ、償却資産税の対象とはなりません。法人税と償却資産税どちらを取るか、悩ましい問題です。