人事考課制度の公正性、納得性が、制度の効果を左右する重大事であることは一般によく認識されています。
そこで考課者訓練のやり方が、いろいろ工夫されており、一般に普及してきたのは、考課場面(職場・考課項目・被考課者の業績・発揮能力・意欲等の考課材料)をケーススタディーとして準備し、複数の考課者(管理者)に考課させた上で、討論を行わせ、まとめ役が準備したモデル回答を説明する、と言ったパターンが多いようです。
しかし、このような方法は、考課基準適用判断のバラツキを抑制するのに役立つものの、実際の被考課者の考課材料が使われず、リアリティーに乏しいことから、最近は次のような実践的考課者訓練が効果性をもつものとして注目されています。
評価者会議、即考課者訓練の場
社内役割等級認定においても、貢献度評価の賞与反映、昇給決定においても、業績・能力発揮の事実に基づいた考課の公正性・納得性が重要である、との視点で評価者会議を訓練の場として活用します。
具体的な進行方法は次の通りです。
①考課目的(役割等級・賞与・昇給の決定)に応じた調整の相対評価枠(例えば、A評価5%、B評価15%、C評価60%、D評価15%、E評価5%)と、それに対する1次考課者の考課結果の確認。(通常、高い評価や平均的評価に偏る傾向がある。)
②設定された枠を超える考課ランクについて、1次考課者が根拠事実を説明する。 ③競合する考課者間で、質疑応答、自己の考課が公正、かつ納得性が高いことを主張し合い、根拠事実に基づいて徹底的に議論する。(裁定者は、この議論を促進する。) ④裁定者(通常1次考課者の上位ランクの管理者・部長など)が、討論全体の状況判断を行い、裁定を下す。(必ず相対考課の枠に合致する裁定を行う。) |
実践的考課者訓練の効果
こうした会議の場で、実際に自分の部下の業績・発揮能力はどうだったかを説明し、真剣な議論をすることで、被考課者本人に対してのフィードバックでも、なぜこのような評価になったのかを自信と納得性を持って本人に伝えられるようになります。
また、議論を行うことで、自らの考課能力に磨きをかける訓練になります。