記事投稿日:2013.02.12
2000年頃から、日本企業で成果主義・能力主義の評価を重視する傾向が強まったのに伴い、“コンピテンシー評価”と言う評価手法が取り入れられるようになりました。
その目的は、職種別に高い業績を上げている従業員の行動特性を分析し、それをモデル化して評価基準にすることで、従業員全体の質の向上を図ることにあります。
コンピテンシー評価の特徴
従来の日本型人材評価が、「知識・技術・協調性・積極性・規律性・責任性」など、個別の顕在能力を中心に評価し、業績との関係を推量していたのに対し、コンピテンシー評価では「職種別に、業績に結びついた親密性・専門能力の発揮・計数処理能力・論理的思考などの具体的行動特性」を見て評価するので、会社業績への貢献度が的確に評価されるのが特徴とされています。
コンピテンシーの評価の問題点
この評価基準を用いると、発揮能力評価と成果・業績との関係が明確になる、とされている一方で、次のような問題点も指摘されています。
①実際の被考課者は、その職種における高い業績を上げた行動特性と比較、評価されるため、乖離(かいり)度が大きく、どうしても低めの評価になってしまう。
②評価者の被評価者に対する「好き・嫌い」など、恣意的な評価が入り込みやすい。 ③評価の結果として、被評価者に対する納得性が低くなり、モチベーションを下げたり、優秀な人材の流出につながることもある。 |
経営者・人事責任者の留意点
“コンピテンシー評価”の利点を生かして、問題点の発生を抑制するには、経営者・人事責任者が次の点に留意して評価制度の設計・運用にあたるべきです。
1.コンピテンシーは、一定・不変ではなく、個別業務とその従事者によって絶えず変化するので、評価の視点としては使えるが、絶対的な評価尺度としては限界がある。
2.前項を踏まえ、「職種別に業績に結びついた複数の行動特性(コンピテンシー)」を評価の視点とし、評価者(管理者)に、 事実に基づく、公正、納得性の高い評価を求め、そのための訓練を行う。 |
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。