少子高齢化対策として独身税を?
近年日本では、少子高齢化が問題となり、政府や各政党が様々な対策を打ち出しています。
2004年12月、自民党の子育て小委員会という会議に、ある衆議院議員が(極論として)提案した事によりこの「独身税」という言葉が知られるようになりました。
実際に独身税を導入していた国があった
1968~1989年まで、ブルガリアでは独身税が実際にあり、独身者のみ収入の5%~10%を税金として徴収していました。
少子化対策としての独身税だったのにもかかわらず、1人の女性が一生に生む子供の数を示す合計特殊出生率は、2.18から1.86(1970~1989年)へと下がり、成果を挙げているとは言えないものでした。
日本で独身税を導入すると……
結婚しないことに対するペナルティを課すことにより、結婚しない人を、結婚へと後押しする効果は、確かにあるかもしれません。
しかし独身税を導入するとなると罰則的な意味合いが強いという事で「事実上の婚姻の強制」となり、憲法の「婚姻の自由」を侵害する可能性があります。
その他にも、仏教やキリスト教の僧侶等、宗教的理由で独身である人に対し、懲罰的な課税を行うなら、憲法の「信教の自由」を侵害する可能性もあります。
少子化問題は根が深い
そもそも少子化問題の大きな原因は、一般的には「子供を満足に育てるのにお金が足りない」「共働きで子供の面倒が見れない」「経済的不安定で結婚が出来ない・しない」等の、社会的不安にあるといわれますが、一方で「貧乏人の子沢山」と言う諺もありました。経済的不安が少子化の原因とも一概には言えないところが、難しいところです。
独身税を導入したところで、育児・雇用問題が解決するわけでは無いどころか、高額な独身税では、「独身税のせいで結婚資金が蓄えられず結婚できない」という逆転現象にもなりかねません。やはり独身税は「極論」という事になりそうです。