製造業の中小企業において、国際化への対応は、今や必須と言えます。しかしながら、国際化への道のりは、一足飛びという訳にはいきません。今回は、企業の国際化をどう進めていくかについて見てみたいと思います。
企業の国際化の発展段階
国内事業しか行っていない企業がいきなり、自社100%出資の会社を海外に持つケースは、少ないと思います。
生産型企業が海外に進出する場合、貿易、委託加工、合弁、独資、現地での販売網構築等の事業拡張といった国際化の段階を踏むことが理想とされます。今やそのような時間的余裕がないのが現状ですが、企業の発展段階に応じた人材育成が必要です。
国際化の発展段階に応じて人材育成
生産型企業の発展段階に応じた人材育成のポイントは次のとおりです。
第一段階にある会社には、まず社内の国際化への雰囲気作りが必要であり、外国人研修生の受入れや語学研修といった外国人とのコミュニケーション能力を向上させることが主眼となります。
第二段階は技術移転の段階であり、この段階では貿易および委託加工により技術移転が行われ人的な広がりも期待でき、将来の海外展開の足掛かりとなります。
第三段階は、現地法人の設立であり、この場合、現地工場が合弁企業と独資企業では日本側企業の果す役割は大きく変わってきます。
合弁企業では、現地パートナーが①投資認可申請、②雇用、労務管理、③銀行取引、④現地政府当局との折衝等を行ってくれます。日本側の経営者は生産管理を中心に経営全般において自社の権利を確保することが主眼となります。
独資企業では、現地の法律に明るい弁護士や公認会計士を使って適切に対応する必要があるとともに、現地政府当局とも良好な関係を構築していくことができる人材が必要となります。
生産が安定し事業が拡張期に入りますと、現地市場で新規顧客を獲得したり、さらなるコストダウンのための現地化を進めたりする必要に迫られます。日本から派遣される人材には、現地における幅広い人脈の形成、マーケティング、現地人経営者の育成といった新たな資質が必要となります。