人事考課では「考課基準」の決め方が問題になり易く、失敗すると上司(考課者)にとっても、部下(被考課者)にとっても納得できない結果に陥ります。
これでは、人事考課の公正性・納得性が得られないため、役に立たないどころか、上司と部下の信頼関係にも悪影響が出て、職場の人間関係・意思疎通が悪くなってしまいます。
考課基準とは何か?
「考課基準」には次の三つがあります。
① 会社が定めた基準
本人が属する社内階級の人には、この程度の業績や能力発揮をして欲しい、と会社が定めた業績や、能力発揮の基準、通常は人事考課シートなどに記載されている。 ② 上司(考課者)の期待基準 管理者として担当部門(課)の目標を達成するためには、是非達成して欲しいという業績や能力発揮などの基準。 ③ 本人(被考課者)の満足基準 この程度は達成しなければならない、と被考課者が自分で判断して決めた業績や能力発揮の基準 |
①の会社が定めた基準は、被考課者が属する社内階級の従業員には標準的に期待されている基準ですから、②の基準や③の基準がそれを下回っていることは誤りです。
従って①の基準を満たした上で、②や③の基準について、期初に考課者と被考課者が確認し合っていないと、期末の考課で基準(物差し)の違いに気が付き、お互いに納得できない事態になってしまいます。
上司(考課者)の留意点
被考課者が複数いる場合、通常能力の違いがありますから、おおいに期待しており、頑張って欲しい、という部下(被考課者)には、期初に①の基準と比較して高いレベルの②(上司の期待基準)を特定するとともに、本人が持っている③の基準を聞き出し、良く話し合って②に合わせておく必要があります。
また、①の標準的基準に対して、③が低いレベルの基準に止まっている部下(被考課者)は、話し合いで発見して、少なくとも③の基準を少なくとも①の基準となるよう期初に合意しておく必要があります。